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成功する「新規事業計画書」を作成する3つの視点
次のビジョンを描いて、新しい事業構想・計画書を作成しようとしたとき、自分一人では頭の中がモヤモヤとしてしまって整理がうまくいかずに、なかなかアウトプットできなかったご経験はなかったでしょうか?
今回のブログ記事では、頭の中のモヤモヤを思考整理してスッキリさせて、成功する「新規事業計画書」を作成する3つの視点を解説いたします。
【成功する「新規事業計画書」を作成する3つの視点】
1.顧客価値づくり
2.儲ける仕組みづくり(儲け方と課金方法)
3.プロセス設計
1.顧客価値づくり
自分がこれから新しく行うビジネスの完成図に当たるのか「事業計画書」です。「事業計画書」を書くことで、頭の中のモヤモヤを思考整理していきます。まず、ビジネスに必要な事業ドメインの設定、具体的には「①誰に」「②どうやって」「③どうなってもらうのか」の3つの要素をそれぞれ言語化していきます。
【事業ドメインの設定】
①誰に
⇒どんな「お困りごと」をもっているお客様に対して
②どうやって
⇒『どんな「商品・サービス/価格帯」を提供して、その「お困りごと」を解決するのか』をお客様に知ってもらい、信頼してもらい、購入してもらうことで
③どうなってもらうのか
⇒お客様に「どんな変化(Before→After)」を起こせて、「どんな価値」を感じてもらえるのか
●例:お客様の「恐怖(①不安、②悩み、③焦り、④面倒)」「痛み」をどの程度減らせるのか
●例:お客様の「望み※」を叶えて、お客様の「喜び」をどの程度増やせるのか
※①楽に、②簡単に、③すぐに、④安く、⑤健康(睡眠・運動・食事)、⑥安心・安全、⑦つながり、⑧自己承認(ありのままの自分)、⑨自己実現など
つまり、「お客様のBefore→Afterの変化量の総和」=「顧客価値」
クリステンセン教授は、以下のように言っています。
顧客は商品またはサービスを買っていない。
顧客はなんらかの状況で、
自分の「用事(≒お困りごと)を片付ける(≒解決する)」ために、
商品またはサービスを「雇う」。
そして、既存の商品またはサービスでは未解決の用事(≒お困りごと)があり、
それが耐えられない顧客は、
それを解決する代替策を「雇う」。
事業構想を練っていく際に、まずは以下の2つの質問に答えられるようにします。
<質問①> なぜ、お客様はその商品やサービスを買うのか
お客様が、その商品やサービスを買うのは、その商品やサービスそのものが「欲しい」からではありません。「なんらかの『お困りごと』を解決したい」から、その『解決策』としてその商品やサービスを「雇っている」のです。(『お困りごと』を解決することを目的として、手段を探していき、その結果としてニーズが生まれています。)
<質問②> なぜ、お客様はその商品やサービスをあなたから買うのか
お客様が、”他社”ではなく、”あなた”から商品やサービスを買うのは、お客様の「お困りごと」を、今までの代替策や他社のそれとは違った形で、より良く解決できるから、あなたの商品やサービスを「雇う」のです。すなわち、「②どうやって」については、「代替策や他社との違い」を明らかにしていくことが求められます。例えば、お客様のお困りごとを解決するために「マーケティングの4Pまたは4C」の観点で、「代替策や他社との違い」を表現していくのがよいと思います。
なお、4Pは、商品やサービスを売る側、すなわち企業からの視点であって、基本は、“誰に何をいくらでどのように売るのか?”という考え方になります。昔は、「良い物を作れば売れる」という時代だったのですが、現在は優れた「モノ」がすでに溢れていることが多いため、単純に良い「モノ」を作ったからといっても、必ずしも売れるとは限りません。
一方、4Cは、商品やサービスを買う側、すなわち顧客からの視点であって、基本は、”顧客が商品・サービスを購入し、利用している時に、どんなメリットが得られるのか、どんなお困りごとを解決できるのか等、単純に「モノ」ではなく、「感情」の意味においても、顧客にとって価値があるのか”という考え方になります。
お客様が、商品やサービスを利用する価値を認知して、購入し、さらに購入後の行動(評価・レビュー・口コミなど)に至るまでを捉え、時系列で把握する考え方(カスタマージャーニーマップ)を取り入れて、あなたの会社の行動と、代替策や他社の行動の違いを表現し、差別化を図っていくことも方法の一つです。
なお、上記2つの質問に対して、どのように答えていけばよいのか、筆者の事例を下記ブログ記事に纏めていますので、よろしければ、ご一読いただき、あなたの経営や事業の成功に役立てていただければと思います。
2.儲ける仕組みづくり
一般的には、儲ける仕組みというと、「物販」「サービスの対価」といった、商品やサービスと引き換えに代金を回収するイメージが持たれます。しかし、儲け方は一種類ではありません。儲け方と課金方法の組合せ事例は、下記の通りです。
【儲け方】
①直接販売
⇒単独商品または複数の関連商品の組合せ販売で儲ける
②販売後サービス
⇒基本商品販売後に、付随商品の販売や保守メンテナンス・アップグレードサービスで儲ける
例えば、10級(初級)→9級→・・・→2級→1級(上級)コースのようなアップグレード
③コンテンツ
⇒コンテンツ販売で儲ける
例えば、同じコンテンツでも提供方法の違いによって、値付けを変えて販売
a.電子書籍:500円、b.動画教材:1万円、c.商工会議所セミナー:1万円、d.高額塾:20万円
④ファイナンス
⇒設備リースとその付帯サービス組合せによる年間リース料で儲ける
⑤ロイヤリティ
⇒知的財産権など他社の「権利使用に対する対価」で儲ける
【課金方法】
①商品対価
⇒商品の販売と引き換えに代金を回収する
⇒複数の関連商品の販売の場合には、同時または時間差で課金する
②定額制(サブスクリプション)
⇒使用量に関わらず毎月定額課金する
③従量制
⇒使用量に応じて毎月従量課金する
④利ざや(マークアップ)
⇒仕入原価に利益を加えて再販売して代金を回収する
⑤紹介料(コミッション)
⇒紹介などによって手数料を得る
⑥広告料
⇒他社の広告による課金を行う
上記の事例を参考にしながら、①誰から儲けるのか×②何で(どんな商品・サービスの組合せで儲けるのか×③どのような時間軸(同時または時間差)で儲けるのか、といった観点で、利益を獲得するための設計を行っていきます。
【複数の関連商品・サービス組合せによる儲け方の例】
●「プリンター本体(儲けない商品)」と「インクトナー(儲ける商品)」
⇒時間差で儲ける
●「ハードウェア本体(儲けない商品)」と「ゲームソフト(儲ける商品)」
⇒時間差で儲ける
●「ハンバーガー(儲けない商品)」と「ポテト・ドリンク(儲ける商品)」
⇒同時に儲ける
●「検索サービス(儲けないサービス)」と「広告サービス(儲けるサービス)」
⇒同時に儲ける
●「牛丼(儲けない商品)」と「卵・味噌汁(儲ける商品)」
⇒同時に儲ける
●「自動車本体(儲けない商品)」と「オイル交換・修理(儲けるサービス)」
⇒時間差で儲ける
特に、大企業ではない、中小のチャレンジャー企業においては、なるべく「単品売り切りをしない」ビジネスモデルを作っていくことがポイントです。なぜなら、大企業の徹底したコストダウンによる「低価格化・単品商品売り切りモデル」に対する「差別化」につながると考えられるためです。
3.プロセス(バリューチェーン)設計
顧客に価値を届けるためには、様々な活動があり、それらの活動をリンクさせていく必要があります。あなたの会社にとって最適な活動プロセスを考えていくための手順は、下記の通りです。
【プロセス(バリューチェーン)設計手順】
①自社(自分)は「何者(セルフイメージ)」で、何が「強み」なのか
②「誰と組む」のか
③どのような「手順(時間軸)」でやるのか
特に重要な課題の一つは、あなたの会社がどれだけの領域をカバーするかという意思決定です。あなたの会社で解決できない領域がある場合には、外部のパートナーと連携を図り、解決していくことが求められます。または、時間をかけて、あなたの会社で育成していくことも必要になるかもしれません。
特に、中小のチャレンジャー企業は、「すべて自前でやらないこと」がポイントです。「強み」に繋がらない活動については、その活動を「強み」とするパートナー企業をスピーディーに見つけて、連携を図っていくことの方が、変化スピードの速い時代にマッチしているものと考えられ、ビジネスの成功確率を高めるものと考えています。さらに、複数の協力者を巻き込むことで、新たな知識やノウハウが融合した新たなビジネス創出につながることも期待効果として挙げられます。敢えてオープンにビジネスモデルを作っていくことが、チャレンジャーにとって重要な活動です。
よろしければ、新規事業を成功に導くプロセスとして「エフェクチュエーション」といった考え方を以下のブログ記事に纏めていますので、ぜひご一読いただければと思います。特に「0」→「1」のような新規事業を構想し実行していくには、「エフェクチュエーション」といったプロセスを踏むことが有効と言われています。
ぜひ、あなたの新規事業を成功に導くためにお役に立てれば幸いです。