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自社(自分)の「強み」は何かを分析する

自社(自分)が最も重視する活動は何か、外部のパートナーに任せらない仕事は何か、自社(自分)で実施する重要活動を絞り込む判断基準をどのように設定していくのか。これらを整理していくためには、自社(自分)の「経営資源(リソース)」を整理し、「強み」を明確にしていく必要があります。

特に、現在の「既存事業の再構築(見直し)」、将来の「新規事業の取り組み」の際には、まずは自社(自分)の「経営資源」の棚卸しを行い、自社(自分)の「強み」と「弱み」の分析を行うことが自社(自分)の成長のために極めて重要な活動となってきます。

そして、①「強み」を再認識すること、外部の経営コンサルタント等の協力を得るなどして②「強み」を新たに発見する活動を通じて、その「強み」をいかに今後の経営戦略や事業戦略に活かしていくのかをストーリーとして整理していくことが重要な活動となってきます。

今回のブログでは自社(自分)の「強み」は何かを分析する具体的な方法の一例を紹介していきたいと思います。

「強み」とは何か?

「強み」とは何か?最初に定義しておくと、「強み」とは、「顧客価値提案」を実現する上で、重点活動を効果的に実行できるものです。人、モノ、カネ、情報等といった経営資源の中から特定することができます。ただし、一般の中小企業において、大企業や競合他社と比較して、圧倒的に優位な「強み」はなかなかないものです。しかしながら、どの企業にも「特定された限定市場」において勝てる「強み」はあります。一般的には、「強み」を新たに発見し、認識するための観点として、次のよう要素が挙げられます。何かしら一つでも「強み」となる要素を発見し、今後の経営戦略やマーケティング戦略に活かしていくことです。

【具体的な「強み」とは】

  • ヒト・・・企画開発力、提案営業力、累積経験ノウハウ、技能熟練・多能工人材
  • モノ・・・設備力、商品力(品質・価格・納期対応、デザイン、アフターサービス)、好立地店舗
  • カネ・・・資金繰り、金融機関からの信用力、補助金・助成金活用力、リスクファイナンス(保険)
  • 情報・・・顧客データ活用力(見込み客→初回購入客→リピート客)、知的財産(特許等)
  • ビジネスモデル・・・儲かる仕組み・体制、(受注機会確保とコストダウンの為の)IT化・DX化対応
  • 顧客関係・・・顧客や仕入先・パートナーとの「長期的な関係性」、「信頼感」「愛着感情」
  • セキュリティ・・・情報セキュリティ、地震・豪雨などの自然災害や感染症対策および緊急体制

ここで注意したいことは、「強み」とは、直接的な購買動機につながること(=お客様やパートナーから選ばれる理由)です。

例えば、極端な例になりますが、「当社の社員は若くて元気がよく、挨拶もしっかりできています。これが「強み」です」と経営者が発言したとしても、それは直接的な購買動機にはならず、「良い点」になります。「良い点」は、直接的な購買動機になりませんが、企業の評判や見た目では優位になります。ただ、「良い点」をいかに伸ばしても、今後の経営戦略やマーケティング戦略を描けないのも事実です。将来を決定づけるのは、狙うべきターゲット市場に適合した、直接的な購買動機につながる具体的な「強み」になります。

「強み」を分析するVRIO分析

自社(自分)の「強み」を分析するのは、なかなか難しいものです。なぜなら、「強み」とは何か?と問われても、客観的に判断しにくいものだからです。そこで、バーニー教授が示した客観的な判断基準であるVRIO分析を紹介したいと思います。これを応用することにより、明確に「強み」の判断方法を手に入れることができます。

  • その経営資源「強み」は、「顧客価値・お客様メリット(Value)」を創出するものか?
  • その経営資源「強み」は、「希少(Rarity)」なものか?
  • その経営資源「強み」は、「模倣困難(Inimitability)」なものか?
  • その経営資源「強み」を、「組織活用(Organization)」できているか?

これは、もともと大企業に向けて作られた、自社(自分)の強みを分析するための理論です。そのため、すでにある特定の事業活動を行っている会社が対象になります。すでにビジネスを始めていて、変革を検討している場合には、VRIOの全ての項目で分析することになります。

一方、チャレンジャーが新規ビジネスを立ち上げるときには、「O(組織活用)」の判断できないため、V・R・Iに適合するのかどうかを判断します。3つともYesとなれば、まずは「強み」と考えてよいと思います。

VRIO分析の事例

勤め帰りの勤務者が「自宅に帰って家族においしい食事を提供したい」といったニーズに対して、「良質な食材をリーズブナルな価格で提供する」ソリューション提案をしているスーパーマーケットを事例に、その「強み」のVRIO分析を実施してみると、下記の表の通りとなったものとします。

「強み①:無借金経営」

「強み①:無借金経営」はどの評価項目にも〇がつくことはなさそうです。特に、「顧客価値(Value)」はなく、「希少性(Rarity)」や「模倣困難性(Inimitability)」もありません。しかし、無借金で実現する豊富な手元資金(現金)によって、「仕入債務回転期間(=商品を仕入れてから買掛金や支払手形が決済されるまでの期間)」を大幅に短縮できれば、仕入先との交渉力が高まり、それだけ仕入価格を安くできるかもしれません。このとき、手元資金の豊富さが、「販売価格」の引き下げや、納期」短縮につながっているとすれば、「顧客価値(Value)」を「×」から「〇」に変えることができます。さらに、仕入れ先の信用を得て、仕入れ価格を安く取り引きしてもらう結果、商品の販売価格の引き下げを実現でき、その価格優位性が顧客価値提案の根底を支えることで増販・増益効効果を大きく創出し、その強みを組織として活用できているものと判断できるのであれば、その無借金経営は、「希少性(Rarity)」「模倣困難性(Inimitability)」「組織活用(Organization)」を「×」から「〇」に変えていることになります。

「強み②:接客スキル」

「強み②:接客スキル」は、特定の個人が持っている場合には、「顧客価値(Value)」を創出することができたとしても、その人が仮に「引き抜き」にでもあえば、「希少性(Rarity)」や「模倣困難性(Inimitability)」はありません。しかし、組織的に全員が同じレベルで接客できる仕掛けと仕組みがあれば、V・R・Iに適合する経営資源にすることができます。そのためには、企業文化レベルまで、接客のやり方を浸透させる必要があります。特定の個人が持つ、素晴らしい接客能力を共有していくのです。

「強み③:好立地店舗」

「強み③:好立地店舗」は、お客様にとって利便性が向上するため「顧客価値」があるものの、「希少性」は乏しく、後発がすぐに真似することは可能です。金額さえ折り合いが付けば、後発でも好立地を確保することは可能です。しかし、「特定の顧客に最適化した立地」という視点を持つ、例えば、仕事帰りのオフィスワーカーを対象とするのであれば、駅ビルではなく、オフィス近隣の立地、あるいはオフィス直結の立地が望ましくなり、「希少性」、「模倣困難性」を生み出す確率が高まります。

「強み④:仕入れルート」

「強み④:仕入れルート」は、良質でリーズブナルな商品を提供してくれる数少ない仕入れ業者と取引をしているため、「顧客価値」と「希少性」はともにあり、顧客価値提案に上手に繋げることができています。しかし、競合他社がこの仕入れルートと契約するとなると、それを引き止めることは難しいこと、さらに自社のみと独占契約を締結することも現実的ではないことから、「模倣困難性」に問題が残ります。しかしながら、自社の豊富な手元資金力を活かして、仕入れ先に対して「仕入債務回転期間」の大幅短縮と、商品の「増販効果」を提案し、仕入れ先のキャッシュフローを大幅に改善するメリットを生み出すことによって、仕入れ先との契約関係や取引条件を強化することは可能です。この提案を通じて、「模倣困難性」を生み出すことは可能です。

「強み⑤:顧客データ」

顧客別販売データは、近年導入されたPOSレジで、顧客別の購買履歴データから、仕入れるべき商品等の示唆を得たり、顧客にダイレクトメールを打ってキャンペーンに役立てていることから、「顧客価値」を生み出していますが、競合他社も既にPOSレジを導入していることから、「希少性」もなく、真似しにくいということもありません。しかしながら、新規顧客を取り込む活動をしていく場合に、例えば、近隣のオフィスと業務提携・契約関係があり、かつ、社員証にそのスーパーの優待が受けられるメンバーズカード機能を入れ込むことが可能であれば、「希少性」「模倣困難性」を生み出すことができるかもしれません。また、既存顧客の場合においても、「顧客リスト」を整備し、例えば、①COLDリスト(ダイレクトメールを送っても見ない人など)、②HOTリスト(ダイレクトメールを送ってすぐに見た人など)など、あるカテゴリーで顧客ターゲットを分類し、個々のターゲットに相性のよい媒体(例えば、手書きのはがき、メルマガ、SNS、その他)で、ターゲット顧客ごとに好む「ブログ記事」「お困りごと解決事例・商品の使い方」「お試し商品」などを送るなどの「あなただけの特別感・おもてなし」を提供する活動を強化することによって既存顧客を「リピート客」から「ファン化」する活動は、「希少性」「模倣困難性」を高める方策の一つになるかもしれせん。

このように、VRIO分析は、単に「強み」を確認することではありません。持っている経営資源を把握し、どうやったら「強み」に変えることができるのかを考えるためのツールとしても有効です。そのためには、常に「顧客価値」×「経営資源」で考えていくことが重要です。「弱み」であったとしても、見方を変えることによって「弱み」を「強み」に変えることができる場合があるためです。

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